インフルエンザ

週に1本 はたちの私

中辛/私立恵比寿中学



 ももクロの妹分として結成され、メンバーの転校(脱退)や転入(加入)を重ね7年、本当の中学生メンバーがいなくなってしまった、ある意味ここからが勝負の私立恵比寿中学。今までの音源を現メンバーに割り振り、再収録したベストアルバム「中辛〜エビ中のワクワクベスト〜」。

 「エビ中の魅力を構成するスパイスを独断と偏見でセレクト」したという収録曲は、B面やアルバム曲が中心である。ああそうだ、こんな曲もあったと改めて思わされる。以前の音源と聴き比べてみると、彼女たちの成長ぶりに驚いてしまった。ボーカロイドボイスと言われた安本彩花は、表情の付いた歌い方に、歌が苦手だと言っていた松野莉奈は、もう苦手だと言わせない貫禄がついた。2年前に加入した小林歌穂と中山莉子は伸び盛りだ、すっかりエビ中に欠かせない声を出している。

 そして、唯一の新曲「サドンデス」が素晴らしい。レーベルメイトの”後輩”岡崎体育が楽曲提供し、ディレクションまで行ったという本作は、メンバー1人1人の個性を十二分に活かし、わちゃわちゃしたエビ中らしさが全開である。デビュー曲「仮契約のシンデレラ」に通じる、まさにエビ中を表す曲となっている。

 それだけではない。キングオブ学芸会を謳い、ゆるさや脱力、あくまでも子どもの悩みや恋を歌っていた彼女たちが散々ふざけた後、〈連れてってもらうんじゃなくて きっと 連れてゆくからさ〉と力強く大サビで歌うのだ。妹や娘を見る気持ちで応援していた私たちを、いつの間にか追い抜いてしまった。こんなにも強く、逞しく育ってしまったのか。そして〈あの場所まで〉と続く。ここ数年公言するようになった紅白歌合戦を意味するのだろう。自信をつけて頑張る彼女たちをこれまで以上に応援したくなる。そして、自分もまだまだ頑張れると思えてしまう。

 ソロライブを次々と成功させ、年末には代々木第1体育館で2daysライブが行われる。どんどんスケールアップしていくこれからが楽しみで仕方ない。彼女たちとずっと一緒に成長していきたい。負けてられない。

 

(2016.11.25)